米議会は15日、2001年の米同時多発テロ事件に関する報告書で機密指定を受けていた部分を公表した。サウジアラビア政府と実行犯との関係を疑惑としてあげたものの、報告書は「証明されていない」と記述し、裏付けの乏しいものだとした。
報告書はテロ事件に関する事前情報を調べるために作成され、03年に約800ページが公表された。しかし当時のブッシュ政権が、国家機密を理由に一部を非公開にしていた。該当部分は連続した「28ページ」と呼ばれてきた。AP通信によると、サウジのジュベイル外相は「この問題は終わった。28ページの驚きは、ここに驚きがなかったことだ」とし、疑惑が拭われたとの認識を示した。
開示された部分では、「ハイジャック犯の一部がサウジ政府と関係がある可能性がある人物と連絡を取り、支援を受けていた」と指摘。米国内のサウジ政府関係者が国際テロ組織「アルカイダ」や他のテロ組織と関係している可能性を、米情報機関の情報が示しているとした。一方で「CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)の証言者もサウジの支援の程度を断定できなかった」などとし、情報は確証がないとしている。
機密指定されたことで、内容は臆測を呼び、サウジ政府も開示を求めてきた。(ワシントン=杉山正)