文部科学省は26日、公立学校の耐震改修状況(4月1日現在)を発表した。公立小中学校の校舎や体育館の耐震化率(対策を終えた割合)は98・1%。政府は3月末までに100%にする目標を掲げていたが、2228棟が未対策で残った。統廃合や建て替えで使わなくなる可能性があることや、市町村などの予算不足などが理由だという。
調査は全国の約11万7千棟が対象。文科省の担当者は「おおむね完了した」とする一方、「できるだけ早く対策を講じるよう、個別に要請していきたい」と話した。
耐震化率は前年度(95・6%)から2・5ポイント改善。未対策の施設は前年度(5212棟)から2984棟減った。今回の未対策のうち、震度6強以上で柱などが壊れる危険性が高い建物は397棟。未対策分の半数程度は2017年度までに耐震化を終える予定だが、めどが立っていないケースもある。
都道府県別で最低は沖縄県の87・5%。次いで福島県の90・3%、愛媛県の91・6%が低かった。4月に最大震度7の地震が2度襲った熊本県は、全国で6番目に高かった。市町村でみると、未対策の建物が最多だったのは広島県福山市の97棟。岡山市の87棟、富山市の69棟が続いた。
小中学校以外では、全国平均で幼稚園が91・0%、高校が96・4%、特別支援学校が99・1%。いずれも前年度から改善した。
また、東日本大震災で落下が相次いだ公立小中の体育館などの「つり天井」は、撤去などの対策をとった建物は95・0%。未対策は1654棟だった。
政府は公立学校の補強や改築の際の補助率を引き上げている。昨年度が最終年度だったが、5年間延長された。文科省はこうした制度を使って耐震化を後押しするとともに、つり天井の撤去や窓ガラスの飛散防止といった対策も支援する。老朽化も安全上の課題になっているとして、建て替えも進めていく方針だ。