1日5時間以上テレビを見る人は、肺の血管が詰まって死亡する危険性が高い――。大阪大などのグループが、こんな研究をまとめた。長時間座り続ける姿勢が原因だという。27日、米科学誌電子版に発表した。
白川透・特任研究員(公衆衛生学)らは、1988~90年に、テレビの平均視聴時間などを尋ねた生活習慣アンケートに参加した40~79歳の全国約8万6千人を追跡調査。2009年末までに、血液の塊が肺の血管を詰まらせる肺塞栓(そくせん)症で亡くなった59人について、当時の回答をもとに、高血圧や飲酒、喫煙などの関わりを補正し、テレビの視聴時間と肺塞栓症で死亡する危険性を分析した。
その結果、1日の視聴時間が2・5時間未満の人に比べ、5時間以上の人の死亡リスクは2・5倍だった。エコノミークラス症候群と同様、テレビ視聴時は足を動かさなくなり、足や骨盤に血液がたまりやすくなることが原因だという。
白川さんは「4人に1人が1日5時間以上テレビを見ているというデータもある。テレビ視聴に限らず、長時間座りっぱなしの時は、時々立って歩いたり、足をマッサージしたりして肺塞栓症を予防して欲しい」と話している。
磯博康教授によると、5時間以上見ている全員が2・5時間未満になれば肺塞栓症の死亡者を3割減らせるという。(後藤一也)