マイクロソフトでコルタナの開発に携わるフォスターさん(右)とダグラスさん=ワシントン州レッドモンド、宮地ゆう撮影
人工知能(AI)の開発に、ハリウッド映画の脚本家や詩人、ジャーナリストが参入している。人と会話したり、文章でやりとりしたりするのに、人間に近いユーモアや気の利いた言葉が求められているからだ。AIと話しているのを忘れるような自然な会話は「文系集団」が支えている。
エンジニアの精鋭が集まる米ワシントン州レッドモンドのマイクロソフト本社。広大な敷地の一角に、ITとは縁のなさそうな人が出入りする建物がある。
AIを使った音声認識ソフト「コルタナ」の開発チームだ。コルタナは、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」を搭載したパソコンのほか、スマートフォン、タブレット端末で利用でき、話しかけるとAIがその意味を理解し、調べて答えを返してくれる。
その「セリフ」をつくっているチームには、ハリウッド映画の脚本家や小説家、詩人、ジャーナリストたちが顔をそろえる。
「好きな食べ物を聞かれたら?」「好きなテレビ番組はなに?」
そんな話し合いをして、コルタナの「人物像」を形づくっていく。利用者は「明日の天気は?」などの質問だけでなく、「あなたは人間なの?」「年はいくつ?」といった機能とは関係のない質問も投げかけるからだ。利用者がコルタナに話しかけた大量のデータをもとに議論を重ねる。
チームの発足は2014年1月。コルタナが発表される3カ月前だった。当時すでにアップルやグーグルも似たようなサービスを始めており、AIが発する「人間らしい会話」が話題になっていた。
マイクロソフトがチームのリー…