在日コリアンが多く住む川崎市の桜本地区周辺などで今年1月にあったヘイトスピーチのデモについて、法務省は2日、人権侵害にあたると認定し、主催した男性に同様の行為を行わないよう勧告したと発表した。勧告は1日付。同市に住む在日コリアン3世の崔江以子(チェカンイジャ)さんらが3月、同省に人権救済を申し立てていた。
ヘイトの被害回復、簡単ではない 勧告受け崔さんが談話
勧告によると、男性は1月31日に「川崎発 日本浄化デモ」などとするデモを主催。公園や路上で崔さんらに対し、「1匹残らずたたき出してやる」「真綿で首をしめてやる。1人残らず日本から出て行くまで」などと怒号したとされる。
勧告は、こうした言動が崔さんらの人格権を侵害する不法行為で、人間としての尊厳を傷つける不当な差別にあたると認めた。6月にヘイトスピーチ対策法が施行されたことを踏まえ、「不当な差別的言動のない社会を求める機運が高まっている」とも指摘した。
男性は同法施行直後の6月5日にも川崎市内でデモを計画したが、出発直後に中止になっている。
ヘイトスピーチを対象に人権侵害と認定した勧告は昨年12月に続いて2回目。自主的な改善を促すもので、勧告に強制力はない。
崔さんは「差別だからいけないと、しっかり国が示してくれたことを、とても心強く思う」と話した。