八戸学院光星―東邦 九回裏東邦2死二塁、鈴木理はサヨナラ打を放ちガッツポーズ=高橋雄大撮影
(14日、高校野球 東邦10―9八戸学院光星)
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4点を追う九回、東邦の一塁側アルプス席の応援から生まれた手拍子が徐々に広がる。やがてそれは、4万7千人が詰めかけた球場全体に広がった。
この状況でも先頭の1番・鈴木光は冷静だった。「ここで打ったら、かっこいいな」。左前安打で出ると、1死後に二盗。松山の右前適時打で、まず1点を返した。
4番藤嶋は中飛に倒れて2死一塁。後がなくなっても、選手はひるまない。小西はカウント1―2になるとバットを短く持つ。「球場全体が味方してくれているようで、追い込まれても気持ちの面ではこっちの方が楽だと思った」。右前安打で希望をつなぐ。
さらに中西と高木の連続適時打で同点に。締めくくったのは、鈴木理だ。「思い切っていけば、内野の間を抜けると思った」。サヨナラ打は左翼で弾んだ。
エース藤嶋が序盤で降板。七回には守備のミスも出て、7点を追う展開になった。そこから「開き直ってやっていこうと藤嶋が言った。自分たちも後悔しないように集中した」と高木。点差があっても、七回は二つの盗塁を決めて反撃を開始。九回の鈴木光の二盗も、ノーサインだった。果敢に攻めた結果が大逆転につながった。
「ここで出来る喜びを感じて全部出してこいと言った」と森田監督。「応援で打たせてもらった」と選手は口々に言った。それも事実だろう。そして、その声援を力に変えた精神力もすごかった。(上山浩也)
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○藤嶋(東) 大逆転勝利に「アルプス席やスタンドの皆さんが応援して下さり、ベンチからあり得ないような光景を見た。感動を超えた感動でした」。