木更津総合の武田大慶君=18日、阪神甲子園球場、林紗記撮影
(18日、高校野球 作新学院3―1木更津総合)
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春夏あわせ甲子園で3度ベンチ入りした。だが、登板の機会は1度もおとずれなかった。木更津総合(千葉)の投手、武田大慶(ひろよし)君(3年)は18日、準々決勝の作新学院(栃木)戦でブルペンから、エース早川隆久君(3年)の力投を見守った。
五回1死、武田君は五島卓道監督から「肩をつくっとけ」と言われた。前日からの連投で早川君は序盤、二つの本塁打を浴びるなど苦しんでいた。監督の指示はいつものこと。だが、今日こそはと思い、ブルペンに向かった。
時折、マウンドの早川君の投球をじっと見つめていた。「あそこに立ちたい。でも、ここに今いるのは早川のおかげ。がんばれ」
昨秋の県大会で登板し、決勝では6回を無失点に抑え、優勝に貢献。続く関東大会でも準決勝で東海大甲府(山梨)相手に完封勝利し、チームは春の選抜出場を確実にした。しかし、甲子園では早川君が力投し、出番がなかった。
早川君と同じ左腕。同じタイプの投手は2人いらないと考え、違いを出そうと変化球を磨いた。自分の持ち球にしようと、スライダーの球の握りを何種類も試しては練習した。
小学3年の時、学校の体力テストでボール投げが学年でビリから2番目で悔しかったのが、野球を始めたきっかけだった。中学3年の時、木更津総合が甲子園で活躍するのをテレビでみて憧れて入学した。
今夏の甲子園でも、早川君の投球はさえ渡っていた。作新学院戦でも、四回以降は苦しみながらも二塁を踏ませなかった。結局、武田君に「三度目の正直」はないまま、試合に負けた。
大学でも野球を続けるつもりだ。いつか、早川君と試合で投げ合うのが夢だ。「今度こそエースになりたい」(野村陽彦)