家庭でできる食中毒予防のポイント
千葉県市川市の介護付き有料老人ホームで、腸管出血性大腸菌O(オー)157の集団食中毒があり、80~90代の男女4人が亡くなった。この老人ホームと同じ給食施設を使っていた東京都羽村市の高齢者施設でも、O157の集団食中毒があり、80代の女性が死亡している。どんなことに、注意すべきなのか。
O157は、出血を伴う腸炎などを引き起こす腸管出血性大腸菌の一つ。牛など家畜の糞便(ふんべん)中に見つかり、菌に汚染された飲食物で感染する。1996年には、堺市で学校給食が原因で9千人以上が発症する集団食中毒が起きた。
食中毒は一般的に気温が高い初夏から初秋にかけて多発するが、O157は感染力が強く、気温が低い時期にも注意がいる。
潜伏期間は3~8日ほど。腹痛や下痢、血便などの症状が出る。毒素が血液で腎臓に運ばれ、溶血性尿毒症症候群(HUS)という腎機能障害や、脳症を起こすこともある。今回は老人ホームで患者が相次いだ。免疫力が低下している高齢者や子どもが感染すると、重症化しやすい。
国立感染症研究所の元主任研究官で、大阪府済生会中津病院の安井良則臨床教育部長兼感染管理室長は、家庭での注意点について「浅漬けなどを作る場合は、野菜をしっかりと洗うことが大切だ。そうでないと同じことがまた繰り返されてしまう」と話す。
今回は「きゅうりのゆかり和(あ)え」からO157が検出された。12年には北海道で、白菜の浅漬けを原因とするO157の集団食中毒が発生している。「最近は化学肥料などを使わずに栽培される野菜が増え、野菜に肥料の牛のふんなどが付いていることもある。O157が付着したまま調理することがないよう、しっかり洗ってほしい」と呼びかける。(小川裕介、武田耕太)