米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が埋め立て承認の取り消し撤回に応じないのは違法だ、と国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は16日、国の訴えを認め、翁長知事が承認取り消しの撤回に応じないのは違法だとする判決を言い渡した。
辺野古を巡る国と県の一連の争いで、司法判断が示されたのは初めて。「あらゆる手段で辺野古移設を阻止する」として埋め立て承認を取り消した翁長知事にとって、自らの政治手法が否定された。ただ、翁長知事は最高裁に上告する方針で、国は引き続き埋め立て工事を再開できない状態が続く見通し。
辺野古への移設計画をめぐっては、前知事による埋め立て承認を翁長知事が昨年10月に取り消したため、国は昨年11月、沖縄県を相手取って代執行訴訟を提起。県も提訴して訴訟合戦となったが、今年3月、全ての訴訟を取り下げる和解が成立した。
この和解に基づき、国は今年3月、この取り消しの撤回を求める是正指示を出したが、翁長知事は応じずに国地方係争処理委員会に審査を申し出た。しかし、係争委は是正指示の適否を判断しなかったため、国は7月、翁長知事が指示に従わないのは違法であるとの確認を求める今回の訴訟を起こした。