豪雨などで発令される「避難勧告」などの避難情報は、市町村長が判断している。災害のたびに基準を見直す自治体が相次ぎ、早めの発令が増えている。ただ、「空振りが続けば避難してくれなくなる」と慎重な自治体もある。1カ月前の台風10号で19人が死亡した岩手県岩泉町でも試行錯誤が続く。
■台風対応に揺れた岩泉町
岩泉町は台風のたびに対応が揺れた。台風10号が上陸した日、岩泉町は山間部の一部にだけ避難勧告を出し、勧告が出ていなかった地区の高齢者グループホームで入所者9人が死亡するなど甚大な被害を出した。
5日後の9月4日、伊達勝身町長は町全域の9947人に避難指示を出した。雨は降っていなかったが、新たな台風12号が近づいていた。被害は出ず、避難指示は翌日に解除した。
伊達町長は「空振りに終わってもいいので、これ以上、町民の命を失いたくないという思いから踏み切った」と理解を求めた。
災害対策基本法は、災害の恐れ…