兵庫県加東市で4月、自宅でほぼ寝たきり状態の妻(当時79)を絞殺したとして、殺人罪に問われた八尾嘉明被告(82)の裁判員裁判の判決が6日、神戸地裁姫路支部であり、藤原美弥子裁判長は懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
判決によると、八尾被告は4月5日、同居する家族から「ホームヘルパーの利用をやめる」と言われ、1人では介護ができないなどと考え、寝室のベッドで寝ていた妻の首に電気コードを巻き付けて殺害した。八尾被告は数十年にわたって精神的に不安定な妻の世話をし、2年前から訪問介護サービスを利用していた。妻は今年1月にひざの骨を折るなどし、ほぼ寝たきりの状態だった。
藤原裁判長は「先の見えない介護が続くなか、肉体的、精神的に疲弊して殺害を決意した心理状態を大きく非難できない」と述べ、執行猶予付きの判決とした。さらに判決言い渡しの後、「いろんなことを一人で抱え込むのでなく、家に帰ったらあなたから家族や地域の方に話しかけてもらいたい。奥さんの冥福を祈ることが供養につながると思います」と語りかけた。