第一声で支持を訴える蔵内謙氏=11日午前10時58分、福岡県久留米市、小宮路勝撮影
今後の政局を左右する12日間の選挙戦が始まった。衆院福岡6区補選(福岡県久留米市など)は、自民系が分裂する一方、野党は民進党候補に一本化して対抗する構図だ。人口減や格差拡大など地域の課題が山積するなか、23日の投開票に向けた論戦が続く。
幸福実現党県本部総務会長の西原忠弘氏(61)は、久留米市の西鉄久留米駅前で第一声を上げた。「わが国民をわが子と思う親心が今の政治家にあるだろうか。感謝の心がないから、つたない政治に明け暮れてきたのではないか」と、いまの政治状況を批判。「国民によって選ばれるべき政治家は、幸福実現党しかない。感謝の力が日本の未来を開くと信じていただきたい」と訴えた。
久留米市内の公園で行われた民進党公認の新井富美子氏(49)の出陣式には、党本部から野田佳彦幹事長や原口一博元総務相らが駆けつけた。野党統一候補となった新井氏は「格差問題」の解消に取り組む姿勢を強調した。
インドの在チェンナイ日本総領事館の職員など23年間インドで暮らした経験をもとに「インドで格差社会の果てを見てきた。国が子どもの教育を支えていくのが当たり前の社会にしたい」と呼びかけた。
今回の補選について「自民党や利権ではなく、ともに生きる社会をつくる戦いだ」と主張。最後は「ガンバロー三唱」とともに、集まった連合関係者らが新井氏のイメージカラーの黄色いスカーフを振った。
亡くなった鳩山邦夫氏の次男で前福岡県大川市長の鳩山二郎氏(37)は、久留米市の中心部で第一声。邦夫氏の遺志を引き継ぐ姿勢を強調し、「父は日本の政治には優しさ、ぬくもりがなければダメだと言っていた。優しい政治を実現したい」と訴えた。
市長時代の実績として保育料を値下げし、出生数が増えたことを挙げ「子どもは宝。夢や希望を堂々と語る政治家になりたい」と力を込めた。地域の経済対策として「非効率でも都市機能を分散させることが必要だ」と呼びかけた。
自民党の公認は出ていないが、出陣式には邦夫氏が結成した自民党内の派閥横断議員グループ「きさらぎ会」から田村憲久前厚労相ら7人が出席した。
自民党県連会長の長男で、県連が推す参院議員秘書の蔵内謙氏(35)は、久留米市中心部で第一声のマイクを握った。「1カ月前にようやく事務所開きをした。知名度不足は高いハードルだったが、皆さんのおかげで、ぶれずに今日まで来られた」と切り出した。
蔵内氏も自民党の公認は出ていないが、第一声には蔵内氏が秘書を務める林芳正元農水相や古賀誠元自民党幹事長が出席したほか、県選出の国会議員や県議も顔をそろえた。
久留米絣(がすり)姿で登場した蔵内氏は、人口減による高齢化対策や交通インフラ整備の必要性に触れ「国の要は政治だと確信している。日本の未来は、われわれ若者が責任を持って切り開いていくべきだ」と強調した。