7月の参院選で「一票の格差」が最大3・08倍だったのは投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、大阪高裁(中村哲〈さとし〉裁判長)は20日、格差が生じている今回の定数配分を「違憲状態」と判断。請求を棄却した。
一連の訴訟は、二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部で起こしている。19日までの判決は違憲の一歩手前となる「違憲状態」が4件、「合憲」が3件となった。
最高裁は、最大格差が5・00倍だった2010年、4・77倍だった13年の参院選を「違憲状態」と判断し、格差の原因となっている都道府県単位の区割りを見直すよう求めていた。国会はこれを受けて昨年7月に公職選挙法を改正。鳥取と島根、高知と徳島をそれぞれ一つの選挙区とする「合区」導入などで定数の「10増10減」を実施した。
訴訟で升永英俊弁護士(第一東京弁護士会)のグループは「国会議員は全国民の代表であり、都道府県を選挙区とする憲法上の要請はない」と指摘。抜本的な見直しをせず不平等を放置した選挙は無効で、立法を担ういまの国会に正当性はないと訴えた。
被告となった近畿各府県の選挙管理委員会は、「初の合区によって選挙区割りを抜本的に改めた。違憲の問題が生じる著しい投票価値の不平等状態はなくなった」と反論していた。
高裁・支部の判決が出そろうのは11月8日で、その後、最高裁で統一判断が示される見込み。(阿部峻介)