事故のあった浴室の構造
北海道足寄(あしょろ)町の旅館「オンネトー温泉 景福」(休業中)で2014年10月、入浴客の男性が硫化水素ガス中毒とみられる症状で重体に陥った事故で、事故が起きた浴室では換気扇が壊れて取り外されたままだったことがわかった。浴槽の底から湯がわき出す「自噴式」と呼ばれる構造で、ガスの濃度が高くなりやすい。こうした安全対策の不備は保健所の立ち入り検査でも見逃されていた。
温泉旅館で硫化水素ガス中毒か 入浴中の男性、倒れ重体
環境省の基準は、浴室の硫化水素ガスの濃度が高い場合、換気のほか、温泉水を空気にさらしてガスを抜く「曝気(ばっき)」と呼ばれる措置で、濃度を下げることを義務づけている。
もともと浴室には換気扇が設置されていたが、旅館の経営者は取材に対し、「さびて壊れてしまい、かなり前に取り外した」と説明。浴槽が自噴式なのに注意を払っていなかった点については「湯がわいているのが見えると客の評判が良く、問題があるとは認識していなかった」と話した。
環境省の委託で現場を調べた中央温泉研究所(東京)によると、景福の泉質はガスがたまりやすく、浴室の窓のそばまで山が迫り、風通しも悪い。構造的な問題が重なり、「いつ事故が起きてもおかしくなかった」と指摘している。
旅館側は1987年に営業許可…