男性では、飲食店員や美容師などサービス職が脳卒中や心筋梗塞(こうそく)で若くして死亡するリスクが他の職業よりも高い――。国立国際医療研究センターの和田耕治医師(産業保健学)のチームが研究成果をまとめ、国際医学誌(電子版)に発表した。米国でも同様の傾向があるという。
人口動態統計や国勢調査の結果をもとに、2010年に死亡した25~59歳の男性のうち、脳卒中などの脳疾患で亡くなった約2300人と、心筋梗塞や解離性大動脈瘤(りゅう)など心疾患が原因の約2800人を、11種類の職業別に分析した。無職の人は除き、女性は調べなかった。
統計学的な調整を加えて計算したところ、介護職員や飲食店員、美容師、看護助手、旅行ガイドなどのサービス職が脳疾患や心疾患で亡くなるリスクが最も高かった。脳疾患で販売職の4・6倍、心疾患で3・7倍だった。管理職、農林漁業職、建設・採掘職、輸送・機械運転職が続いた。
和田さんは「職業によって、過労死と関連する脳卒中や心筋梗塞で早く亡くなるリスクが異なることが明らかになった。リスクの高い業態では、労働時間の短縮やストレスの低減、禁煙など、より積極的な対策をとってほしい」と話している。(小川裕介)