米商務省が28日発表した2016年7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、年率換算で前期(4~6月期)比2・9%増だった。専門家の予想(2・5%前後の増加)を上回り、前期の1・4%増から伸びが加速した。14年7~9月期以来2年ぶりの高い伸びで、米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する年内利上げを後押ししそうだ。
主力の個人消費は減速したが、輸出は10%増で3年ぶりの大きな伸びとなった。企業の在庫積み増しで在庫投資がプラスに転じ、低迷していた設備投資もわずかに改善した。米国経済は輸出や企業による設備投資の低迷などで3四半期連続で1%前後の成長にとどまっていた。
FRBは、11月1~2日に金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。11月8日に米大統領選を控えており、今回は利上げを見送るとの観測が大勢だが、12月の会合では利上げに踏み切るとの見方が多い。
米大統領選でオバマ政権路線の継承を訴える民主党のクリントン氏にも追い風となりそうだ。共和党のトランプ氏は「GDPは1%成長で我々の国は死にかけている」と批判していた。(ワシントン=五十嵐大介)