交通取り締まり中の女性警察官に暴行したとして警視庁に現行犯逮捕された会社経営の男性(68)らが、「暴行は警察官のでっち上げで、違法な逮捕だ」として約910万円の損害賠償を東京都などに求めた訴訟の控訴審判決が1日、東京高裁であった。白石史子裁判長は、「暴行はなく逮捕は違法」と認めて都に240万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
男性は2007年、中央区の路上で築地署の女性警察官と言い争いになり、警察官をひじで小突いたり、車のドアで手を挟んだりしたとして、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。男性は19日間身柄を拘束された後、不起訴処分となった。
高裁判決は「警察官の証言内容が変遷しており、信用性に疑問を抱かせる」と指摘。「暴行はなかった」という目撃者の証言なども考慮し、一審同様に、男性による警察官への暴行はなかったと判断した。一方で、警察による組織的な捏造(ねつぞう)や違法な勾留はなかったとして、男性が国に求めた賠償請求などは退けた。
判決を受け、男性の代理人弁護士は「警察官による不正を断罪した判決の意義は大きい」と述べた。警視庁は「当方の主張が認められなかったことは残念です。判決内容を検討した上で、対応を決めます」とコメントした。