亡くなる3カ月前(2014年4月)に父親が撮影した大森七海さん
2014年に青森県立八戸北高校2年生の大森七海さん(当時17)が亡くなり、いじめによる自殺の可能性が高いと訴えてきた両親が七海さんの実名と写真を公開した。母親(52)は公開の理由について「いじめを身近な問題として考えてほしい」と話している。
東京都内で5日に開かれたシンポジウムで明らかにした。母親は8月に青森県内で2人の中学生が自殺したことにも触れ、「いじめの認識不足や情報共有の不備を何度繰り返したら学校は気づくのか」と憤りを語った。七海さんは高校入学後に同級生から無視や悪口などのいじめを受けていたといい、14年7月に八戸沖で遺体でみつかった。県教育委員会の第三者機関はいじめについて「悪質性を認めるに至らない」などとして死亡との因果関係を否定したが、県知事の第三者機関は再調査で15年3月に「いじめと自殺には一定の因果関係があった」と認めた。
母親はこれまで匿名で体験を語ってきたが、今年7月「いじめを他人ごとだと思う人にも考えてもらいたい」と、七海さんの写真にメッセージを添え、全国の学校でいじめ防止のための講演をしているNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」(川崎市)に提供。同法人主催の5日のシンポジウムでも展示された。(榎本瑞希)