漏電のあったケーブル。内部から膨張し、破裂している=東京電力提供
東京都内の約58万6千戸で10月に起きた大規模停電で、東京電力は10日、事故現場の状況などをまとめた報告書を経済産業省に提出した。停電の原因となった送電線火災が起きた地下トンネルで、停電の約40分前にケーブル1本で漏電を感知していたなどとして、火災が漏電によって起こったと推定している。
都内で一時58万戸停電 東電「原因はケーブルの出火」
東電によると、漏電を感知したケーブルはトンネル内の18本のうち1本。火災後に確認したところ、この1本は、電気が漏れたことで内部からの力が生じ、膨張していた。膨張していたのは、当時黒煙が上がった埼玉県新座市のトンネル出入り口の真下付近。延長のためにケーブルをつなぐ「接続部」で、防火シートで覆われるなどの対策がされていなかった。この部分で漏電、出火し、他のケーブルに燃え広がったとみている。
ケーブルは35年前に設置された旧式で、担当者は漏電の原因について「経年劣化が要因の一つに考えられるが、調査中」という。年内にも最終報告書をまとめたい考えだ。
膨張したケーブル内部で、絶縁油に含まれるアセチレンガスの量が2011年12月にそれまでの5倍に増えていたことも報告。油の絶縁性能が低くなっていた可能性があるという。(高浜行人)