埼玉県朝霞市で昨年、男性(当時58)が絞殺された事件で、強盗殺人などの罪に問われた元県警巡査部長・中野翔太被告(33)=同県川越市鯨井=の裁判員裁判が28日、さいたま地裁(佐々木直人裁判長)で始まった。中野被告は事実関係を認めた一方、「(首を絞めたのは)殺して現金を取ろうとしたからではない」と述べ、殺意や強盗目的を否定。弁護側は、傷害致死と窃盗の罪にとどまると訴えた。
起訴状などによると、当時浦和署巡査部長だった中野被告は、金銭を奪う目的で昨年9月3日、無職寺尾俊治さん宅に1階洋室の窓から侵入。寺尾さんの首をロープで絞めて殺害し、現金121万6千円と記念硬貨(額面合計64万7500円)を奪ったとされる。
検察側は冒頭陳述で「警察としての立場と職務上知り得た情報を悪用し犯行に及んだ」と述べた。
一方、中野被告は罪状認否で「現金を取ろうとして(男性宅に)入り、首を絞めたことは間違いない」としつつ殺意は否認。弁護側は「首を絞めたのは被害者が出す大声を止めるため」と反論。殺意や強盗の意思はなかったと主張した。
捜査関係者によると、事件の約1年前、寺尾さん宅を捜査で訪問した際に金庫の場所などを確認していたという。