ホワイトハウスから広島平和記念資料館に届いた手紙。末尾にオバマ氏のサインが記されている
オバマ米大統領が今年5月に広島を訪問した際、星条旗を模した千羽鶴などを贈った広島市西区の高橋史絵さん(79)のもとに、大統領から礼状が届いた。「心からの贈り物をありがとう」。謝辞に続き、オバマ氏のサインもあった。
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特集:オバマ米大統領、広島へ
高橋さんの夫で元広島平和記念資料館長の昭博(あきひろ)さんは、2011年に80歳で亡くなるまでオバマ氏に広島訪問を求める手紙を書き続けていた。遺志を継いだ高橋さんは、訪問が実現したら渡そうと、星条旗を模した千羽鶴やレイを準備。当日に直接渡せなかったが、広島市を通じて、ホワイトハウスに届けてもらえるよう頼んでいた。
礼状は11月7日付。「より多くの人々が時間をかけて過去を理解し、互いを思いやる心をもつ限り、前途にはより明るく、より平和な未来があると確信している」と記されていた。高橋さんは「鶴がホワイトハウスにちゃんと届いたと分かり、ほっとした。夫の核廃絶への思いが伝わって良かった」と喜んだ。
オバマ氏は広島平和記念資料館を訪れ、広島で被爆した故・佐々木禎子(さだこ)さんが白血病と闘いながら折った鶴や、被爆者の遺品などを見学。資料館には11月21日付の礼状が送られ、見学についての言及はなかったが、資料館から贈られた図録への感謝の言葉がつづられていた。特産品の化粧筆を贈った広島県熊野町や「カーターピーナッツ」を贈呈した三次市などの自治体や企業にも同様に礼状が届いている。(高島曜介、岡本玄)
■手紙の和訳
心からの贈り物をありがとうございます。ミシェル(夫人)と私は、あなた方の寛大さに感動しました。
私は「核なき世界」に向けた約束を再確認するため、広島を訪れました。私たちは歴史を直視し、このような苦しみが二度と起きないようにするため、どのように行動を変えればよいのかについて、自問する責任を共有しています。私たちが、戦争を引き起こしかねない存在ではなく、共通の人間性を持った存在であることを、被爆者は示してくれます。あの運命の日から、私たちは希望の持てる選択をしてきましたし、あなた方の物語は私たちがどれだけ遠くまで来られたかの証しです。より多くの人々が時間をかけて過去を理解し、互いを思いやる心をもつ限り、前途にはより明るく、より平和な未来があると、私は確信しています。
皆さんの心のこもった行いに、改めて感謝します。ご多幸をお祈りしています。