韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を記事で傷つけたとして産経新聞の加藤達也元ソウル支局長が在宅起訴され、無罪判決が確定した問題をめぐり、韓国の「全国言論労働組合」が6日、朝日新聞の取材に応じ、大統領府高官らの協議内容とみられるメモを明らかにした。「懲らしめる」「処断」などの言葉から、「言論の自由に対する理解がまったくない政府であることを露呈している」とした。
同労組は報道機関の労組で構成する。担当者によると、メモは昨年1月まで大統領府の民情首席秘書官を務め、今年死去した金英漢(キムヨンハン)氏が記したもので、遺族から提供を受けた。メモには大統領府高官らが記事への対応を議論した内容が記されていると説明している。
加藤氏の記事が掲載された後の2014年8月7日のメモには、「産経 報告 忘れてはならない」「懲らしめてやらねば。リストを作って追跡し処断するよう情報収集、警察、国情院(国家情報院)でチームを構成するように」と書かれていた。冒頭に「長」の文字があり、同労組は、金淇春(キムギチュン)・大統領府秘書室長(当時)の発言だった可能性があるとしている。
8月10日には「言論の自由の名のもとに国家元首を冒瀆(ぼうとく)することは許されない」という記述もあった。(ソウル=金順姫)