亡くなった父娘の葬儀会場に入る参列者ら=11日、長崎県対馬市豊玉町
長崎県対馬市で全焼した住宅の焼け跡から父娘2人の遺体が見つかった放火・殺人事件で、2人の葬儀が11日、対馬市内であり、親族や友人ら約300人が父娘をしのんだ。
葬儀会場には、亡くなった古川敬氏(けいし)さん(65)の漁師仲間や、次女で医療機関職員だった聖子さん(32)の友人らが次々と訪れた。
参列者によると、敬氏さんの同級生という漁師仲間が弔辞を読み上げ、「船のエンジンを入れ替えてまた頑張ると言っていたので、無念だっただろう」などと話したという。
葬儀では、敬氏さんの妻(60)が喪主を務め、長男が会葬のお礼を述べたという。参列した聖子さんの高校時代のバレーボール部監督、春田章さん(75)によると、長男は、父親の人柄を「自分より家族のことを一番に考える人だった」と語り、妹の聖子さんについては「こうなるなら、しっかり話をして、笑っておけばよかった」と話したという。2人の話になったとき、会場では参列者のすすり泣きの声も聞かれたという。
春田さんは聖子さんについて「明るくはきはきした子。仲間からも後輩からも信頼されていた」。敬氏さんを昔から知る同じ地区に住む女性(80)は「娘さんと手をつないで天国に行ったんだろうね」と語った。
火災は7日午前7時半ごろ発生。焼け跡から、父娘の遺体が見つかり、2人の頭部にいずれも骨折を伴う外傷があったことから、県警は殺人・放火事件と断定し、捜査している。(森本類、鈴木峻)