韓国戦の第8エンド、劣勢に視線を落とす両角友(右から2人目)と清水(同3人目)=時事
(21日、平昌五輪 カーリング男子1次リーグ 日本4―10韓国)
石から手を離した瞬間、「違う」と感じた。カーリング男子日本のSC軽井沢クのスキップ両角友佑。第6エンド(E)の最終投。相手の石を狙ったのに、日本の石を二つ出してしまった。
カーリング男子1次リーグ敗退 日韓戦、大量失点で黒星
言葉を動きに、動きを言葉に。「孤高の星 羽生結弦」
紙一重のショットにも見えたが、両角友は「これが今の力」。第1Eから小さなミスが続いていた。致命傷となった第6Eも、難ショットを選ばざるを得ない状況に追い込まれていた。
「カーリング、男子もやるの?」。知名度の低い日本で、チームは手探りで走ってきた。試合で使う石の滑り具合を、感覚ではなく数値で表す独自の計算式も編み出した。試合前夜の公式練習にはパソコンを持ち込み、速さ、曲がった距離を入力する。派手な戦術を綿密な準備で支え、世界に挑み続けてきた。
表彰台が見える位置まで来ていただけに「もっと力をつけたい」とサードの清水徹郎は悔しがる。「でも今後も続けられるかどうか」。今は競技優先の職場に恵まれるが、続く保証はない。両角公佑は公園でクレープを焼き、清水はコーヒー店のアルバイトで生活をつないだ時期もあった。
20年間閉ざされた五輪への扉を開き、競技の魅力は伝えきった。両角友は「この先の選手の環境の変化につながればうれしい」。そのためのインパクトは十二分に残した9試合だった。(渡辺芳枝)