インタビューに答える森喜朗元首相=12日午後、東京都港区、飯塚晋一撮影
15、16両日に予定される日ロ首脳会談を前に、ロシアのプーチン大統領と親交がある森喜朗元首相が12日、朝日新聞のインタビューに応じた。安倍晋三首相とプーチン氏の会談は、次で通算16回目となる。森氏は北方領土問題や経済協力が中心議題になるとの見通しを示し、「プーチン氏も心構えや覚悟があるだろう」と語った。
4島返還か2島か 妥結の道は
――安倍晋三首相とプーチン大統領の信頼関係は築けていると思いますか。
「1カ月ほど前に首相から、『(森氏とプーチン氏による2001年の)イルクーツクでの会談の記録を全部読みました。よく理解しました』と言われた。(会談後に発表されたイルクーツク声明に至る)私とプーチン氏の話し合いをよく理解しておこう、と思われたんでしょう」
■胸襟開くだろう
「プーチン氏は2人だけで話すと素直に自分の気持ちを吐露する。次の会談は首相の地元・山口の温泉地で開かれる。プーチン氏は胸襟を開いて腹蔵なく話すつもりだろう。プーチン氏はかつて、『引き分け』という言葉を使って領土問題の解決に意欲を示した。温泉での会談に同意したのは心構えや覚悟があるからだろう。信頼関係に立った、厳しい突っ込んだやり取りができるかもしれない」
――ロシア政府は経済協力を重視しており、北方領土問題の解決をめざす日本政府と温度差も見えます。
「極東開発はプーチン氏の夢だ。ここに日本が投資し、開発に協力する人が居住すれば、ロシア人も定着して質の高い地域になると期待している。シベリア鉄道やエネルギー開発も、私が首相時代から重視している。安倍首相が5月のソチの会談で提案した8項目の経済協力プランに基づき、極東開発に徹底して協力する姿勢で臨んでほしい」
「プーチン氏がやると言えば領土問題も動く。確かに日ロ両政府内には色々な意見がある。日本にも『4島を一括で返還してもらわなければ駄目だ』との意見もあるが、それを基準にすると何も動かない。首相の支持率は5割以上、プーチン氏は8割ある。支持が高い首脳だから、できることもある」