シリア内戦の最激戦地・北部アレッポをめぐり、アサド政権軍の中枢幹部は12日夜(日本時間13日未明)、匿名を条件に朝日新聞の取材に応じ、反体制派が支配してきた同市東部を「政権軍が完全に制圧した」と語った。13日中にも正式に発表されるという。
この幹部によると、政権軍は12日までにアレッポの95%を制圧。残る5%の地区に同日、政権軍が部隊を進めると、「テロリストは雪崩を打って崩壊した。何百人というテロリストがこの戦闘で殺された」と述べた。
シリアの政権寄りメディアでは12日夜、シリア国旗を振ったり、アサド大統領の肖像画を掲げたりして、政権軍の「アレッポ完全制圧」を祝う民衆の映像が繰り返し放映された。
アレッポ東部の反体制派関係者も13日未明(日本時間13日朝)、朝日新聞のインターネット電話取材に応じ、「我々はわずか数ブロックの街区に追い込まれ、全方向から攻撃を受けている。兵力では圧倒的に不利だ。残念だが、今日中にここも制圧されるだろう。我々は死ぬまで戦うが、ここに残る子ども、女性、老人が政権軍に虐殺されることがすごく心配だ」と語った。
また、アレッポ東部で負傷者を救助する非武装ボランティア組織「シリア民間防衛隊」(通称・ホワイトヘルメッツ)の関係者も13日未明、朝日新聞のインターネット電話取材に応じ、「政権軍が制圧した場所には、たくさんの男性の死体が放置されている。反体制派支配地域にいる男性はテロリストとみなされ、路上で『処刑』されている」と証言した。(イスタンブール=春日芳晃)