公益通報に必要な内部文書を職場から外部に持ち出す行為について、解雇などの不利益扱いから保護し、民事上の免責を認める方向で政府の検討が進められることになった。公益通報者保護法の改正を議論してきた消費者庁の検討会の最終報告書に盛り込まれた。
現行の公益通報者保護法には内部文書の持ち出しに関する明文規定はない。このため、正当な公益通報のためであっても、職場の資料を外部に持ち出せば、守秘義務違反や盗みの責任を問われる恐れがある。
弁護士ら有識者で作る検討会では、証拠の持ち出しについて「ルールが決まってくると、裏付けのある質の高い通報が多くなる」との意見が出された。
一方で、証拠資料の持ち出しを保護の対象にする判断が既に司法の場などで示されている。そのため、条文を新たに設ける必要はないのではないかとの意見も出た。
2009年の大阪高裁判決は「公益通報のために必要な証拠書類を持ち出す行為も、公益通報に付随する行為として、同法による保護の対象となる」との解釈を示した。
神戸市の司法書士による弁護士…