全国17都府県のコンビニのATM(現金自動出入機)で2016年5月、約18億6千万円が一斉に引き出された事件で、福岡県警は、東京都世田谷区梅丘2丁目、無職の斉藤祐輔容疑者(33)を不正作出支払用カード電磁的記録供用と窃盗の疑いで逮捕し、21日に発表した。事件を主導した人物の一人とみている。
国際捜査課によると、斉藤容疑者は男10人と共謀。16年5月15日午前6時~8時40分ごろ、福岡市や福岡県春日市、福岡県那珂川町のコンビニATMで偽造カードを使い、計43店舗で現金計4380万円を引き出した疑いがある。
この日、東京や愛知、大阪などで、3時間足らずのうちに、南アフリカの銀行から流出した情報をもとに作成された偽造カードで計1万8千回以上、現金が不正に引き出された。
県警は、ATMから現金を引き出す「出し子」らを割り出し、これまでに福岡、佐賀、長崎の3県で発生した146件(計約1億5千万円)を立件。出し子への指示役とされる指定暴力団工藤会や指定暴力団神戸山口組の傘下組織組員ら計48人を検挙した。
その後の調べで、関東に拠点がある暴力団関係者と親交がある斉藤容疑者が浮上した。情報を入手して偽造カードを準備し、各地の「出し子」グループに渡していた、と県警はみている。