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退位意向「耳傾けてくれ深く感謝」 天皇陛下、83歳に

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2016-12-23 14:54:58  点击:  切换到繁體中文

 

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誕生日にあたっての記者会見に臨む天皇陛下=20日午後4時14分、皇居・宮殿「石橋の間」、嶋田達也撮影


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天皇陛下は23日、83歳の誕生日を迎え、これに先立って皇居・宮殿で記者会見に臨んだ。8月に退位の意向をにじませるお気持ちを表明したことに触れ、「多くの人々が耳を傾け、おのおのの立場で親身に考えてくれていることに深く感謝しています」と述べた。


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お気持ちの内容は「天皇としての自らの歩みを振り返り、この先の在り方、務めについてここ数年考えてきたこと」だといい、「内閣とも相談しながら表明しました」と説明した。


お気持ち表明については、皇后さまも10月の誕生日にあたっての文書で「皇太子や秋篠宮ともよくご相談の上でなされた」もので「謹んでこれを承りました」と述懐。秋篠宮さまも11月の会見で「長い間考えてこられたことを、きちんとした形で示すことができた。大変よかったと思う」と話していた。


今回の会見は、1月のフィリピン訪問に始まり、この1年を時系列で振り返る形で進んだ。陛下は20日の会見時にも風邪の症状が続き、少しかれた声で、約12分間にわたり用意した原稿を読み上げた。


フィリピン訪問については、太平洋戦争の激戦地だったことを踏まえ「両国の今日の友好関係は、先の大戦で命を落とした多くのフィリピン人、日本人の犠牲の上に、長い年月を経て築かれてきました」と述べた。今回の訪問で日本人戦没者を悼む「比島戦没者の碑」を訪れるなど、「冥福を祈る機会を得たことはありがたいことでした」と振り返った。


発生から5年が過ぎた東日本大震災については、3月に福島、宮城両県、9~10月に岩手県を訪れる中で「復興へ向けた努力の歩みとともに、いまだ困難な状況が残されている実情」を目にしたという。「今なお多くの人が困難をしのんでおり、この人々が一日も早く日常を取り戻せるよう国民皆が寄り添い、協力していくことが必要」と話した。


8~9月のリオ五輪・パラリンピックについては、時差があったために「毎朝テレビで日本人選手の活躍する姿が見られたことは楽しいことでした」と話した。長く心を寄せてきたパラリンピックに多くの人々が関心を寄せていることへの喜びも語った。


10月に逝去した三笠宮さまについては「戦争を経験された皇族であり、そのお話を伺えたことは意義深いことでした」と思い出を語った。


会見の最後には「年の瀬が近づき、この1年を振り返るとともに、来年が人々にとって良い年となるよう願っています」と述べた。


会見後、代表の記者がお見舞いを伝えると、天皇陛下は「体のことを心配して頂いてどうもありがとう。この会見にも出られるわけで、心配しないで頂きたいと思います」と話した。


宮内庁によると、陛下はこの1年、国事行為に関して97人の認証官任命式のほか、内閣から届く1031件の書類に署名・押印した。地方には静養をのぞいて11府県を訪問。宮中祭祀(さいし)には19回臨んだ。(島康彦、多田晃子)


■天皇陛下の記者会見全文


天皇陛下は83歳の誕生日を前に、皇居で記者会見した。内容は次の通り。


【問】今年は五輪・パラリンピックが開催され、天皇陛下にはフィリピンや東日本大震災、熊本地震の被災地などを訪問される一方、三笠宮さまやタイのプミポン国王とのお別れもあり、8月には「象徴としての務め」についてお気持ちを表明されました。この1年を振り返って感じられたことをお聞かせください。


【天皇陛下】今年1年を振り返ると、まず挙げられるのが、1月末、国交正常化60周年に当たり、皇后と共にフィリピンを訪問したことです。アキノ大統領の心のこもった接遇を受け、また、訪れた各地でフィリピン国民から温かく迎えられました。私が昭和天皇の名代として、初めてフィリピンを訪問してから、54年近くの歳月が経っていました。この前回の訪問の折には、まだ、対日感情が厳しい状況にあると聞いていましたが、空港に到着した私どもを、タラップの下で当時のマカパガル大統領夫妻が笑顔で迎えてくださったことが、懐かしく思い出されました。


今回の滞在中に、近年訪日したフィリピン人留学生や研修生と会う機会を持ち、また、やがて日本で看護師・介護福祉士になることを目指して、日本語研修に取り組んでいるフィリピンの人たちの様子に触れながら、この54年の間に、両国関係が大きく進展してきたことを、うれしく感じました。


両国の今日の友好関係は、先の大戦で命を落とした多くのフィリピン人、日本人の犠牲の上に、長い年月を経て築かれてきました。この度の訪問において、こうした戦没者の霊の鎮まるそれぞれの場を訪ね、冥福を祈る機会を得たことは、ありがたいことでした。また、戦後長く苦難の日々を送ってきた日系2世の人たちに会う機会を得たことも、私どもにとり非常に感慨深いことでした。


今後とも両国の友好関係が更に深まることを祈っています。


東日本大震災が発生してから5年を超えました。3月には、福島県、宮城県の被災地、そして9月には岩手県の被災地を訪問し、復興へ向けた努力の歩みとともに、未(いま)だ困難な状況が残されている実情を見ました。その中で岩手県大槌町では、19年前に滞在した宿に泊まりましたが、当時、はまぎくの花を見ながら歩いたすぐ前の海岸が、地震で海面下に沈んで消えてしまっていることを知り、自然の力の大きさ、怖さをしみじみと思いました。


この5年間、皆が協力して復興の努力を積み重ね、多くの成果がもたらされてきました。しかし同時に、今なお多くの人が困難をしのんでおり、この人々が、一日も早く日常を取り戻せるよう、国民皆が寄り添い、協力していくことが必要と感じます。


4月には熊本地震が発生しました。14日夜の地震で、多くの被害が出ましたが、16日未明に本震が発生し、更に大きな被害が出ました。その後も長く余震が続き、人々の不安はいかばかりであったかと思います。


5月に現地を訪れましたが、被害の大きさに胸を痛めるとともに、皆が協力し合って困難を乗り越えようと取り組んでいる姿に、心を打たれました。


今年はさらに8月末に台風10号による大雨が岩手県と北海道を襲い、その中で高齢者グループホームの人たちを含め、多くの人が犠牲になったことも痛ましいことでした。


このような災害に当たり、近年、個人や様々な団体と共に、各地の県や市町村などの自治体が、被災地への支援の手を差し伸べ、さらにそれを契機として、全国で様々な地域間の交流が行われるようになってきていることを、うれしく思っています。


8月には、天皇としての自らの歩みを振り返り、この先の在り方、務めについて、ここ数年考えてきたことを内閣とも相談しながら表明しました。多くの人々が耳を傾け、おのおのの立場で親身に考えてくれていることに、深く感謝しています。


8月から9月にかけて、リオデジャネイロでオリンピックとパラリンピックが開催されました。時差があったこともあり、毎朝テレビで、日本人選手の活躍する姿が見られたことは、楽しいことでした。オリンピックと同様に、パラリンピックにも多くの人々の関心が寄せられていることをうれしく思いました。


10月中旬にタイのプミポン国王陛下が崩御になりました。昭和38年に国賓として訪日された時に初めてお目に掛かり、その翌年に、昭和天皇の名代として、皇后と共にタイを訪問し、国王王妃両陛下に温かく迎えていただき、チェンマイなど、タイの地方にも御案内いただきました。即位60周年のお祝いに参列したことを始め、親しく交流を重ねてきた日々のことが、懐かしく思い出されます。


10月下旬には、三笠宮崇仁親王が薨去(こうきょ)になりました。今年の一般参賀の時には、手を振って人々に応えていらしたことが思い起こされます。戦争を経験された皇族であり、そのお話を伺えたことは意義深いことでした。


11月中旬には、私的旅行として長野県阿智村に行き、満蒙開拓平和記念館を訪れました。記念館では、旧満州から引き揚げてきた人たちから話を聞き、満蒙開拓に携わった人々の、厳しい経験への理解を深めることができました。


また、その際訪れた飯田市では、昭和22年の大火で、市の中心部のほぼ3分の2が焼失しています。その復興に当たり、延焼を防ぐよう区画整理をし、広い防火帯道路を造り、その道路には復興のシンボルとして、当時の中学生がりんごの木を植えた話を聞きました。昭和20年代という戦後間もないその時期に、災害復興を機に、前より更に良いものを作るという、近年で言う「ビルド・バック・ベター」が既に実行されていたことを知りました。


12月には、長年にわたるオートファジーの研究で、大隅博士がノーベル賞を受賞されました。冬のスウェーデンで、忙しい1週間を過ごされた博士が、今は十分な休養をとられ、再び自らが望まれているような、静かな研究生活に戻ることができることを願っています。


年の瀬が近づき、この1年を振り返るとともに、来年が人々にとって良い年となるよう願っています。




 

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