錦織圭=東京都千代田区、時津剛撮影
世界一。その夢を持ち、たゆまぬ努力を積み重ね、アスリートたちは、いつしか「超一流」と呼ばれる存在になる。2017年。取り巻く環境も変わる中、さらなる高みを目指す選手の進む道に終わりはない。
特集:錦織圭
■錦織圭
僕の夢は小さいころからずっと同じです。考えてみると、すごいことですね。
全国大会で3冠に輝いた小学校6年のとき、学校で作った新聞に「将来はテニスで世界一になりたいです。きびしい練習のかべも乗り越えてがんばっていきたいです」と書きました。好きな言葉の欄には「EFFORT 努力・継続」。テニスは大好きだから、努力は苦にならないし、怠けたりはしない性格です。
だから、プロテニスプレーヤーという職業は、あまり仕事とは思っていません。趣味の延長というか。
同年代の友人とか、大抵の人は高校や大学を卒業する節目で、何を仕事にして生きていくかを考え、決断しないといけない。僕は好きなテニス一本でここまで来られたのは、本当に幸せだと思う。
夢を見つけることは、きっかけとして大切かなと思います。もちろん、どれだけ好きで百%の努力をしたとしても、成就しないときもある。でも、どんな仕事でも、せっかくやるなら極めた方が良い。極める過程では、つらいこともたくさんある。それを乗り越えない限り、どのジャンルでも成熟というか、成功はないと思います。
自分も試合に負けるとつらいし、悩む。でも、挫折を乗り越えた先に、初めて心に自信が宿るんです。
僕はリオデジャネイロ五輪で、2大会連続金メダルに輝いたアンディ・マリー(英)に準決勝で、ボコボコにされて負けました。正直、心底つらかった。
でも、時間が経ち、冷静になれば、乗り越えなきゃいけない壁があるというのは、自分がさらに成長出来る可能性があることだと気づける。実現するかは別にして、挑戦する権利があるのは幸せなことだ、と。
挑戦するときに大切なのは、気…