独フォルクスワーゲン(VW)は10日、排ガス規制の不正問題を巡り、43億ドル(約5千億円)を支払うことを柱とする和解案で米当局と協議が進んでいると発表した。これにより不正関連の費用負担は、用意している対策費の182億ユーロ(約2兆2千億円)では足りなくなるという。2016年12月期の決算に影響を与える可能性がある。
フォルクスワーゲン不正問題
米司法省は不正問題を巡って刑事責任を追及するとともに、昨年1月にVWを相手取って民事提訴した。
VWの声明によると、和解案は、罰金と民事制裁金として総額43億ドルを支払うほか、法令順守体制の強化策を進め、今後3年間は第三者による監督を受ける内容。VWが刑事上の罪を認めたうえ、裁判手続きを簡略化することも盛り込まれるという。VWは一両日中に取締役会などで和解案を承認し、米当局と最終合意を目指す。
VWはリコール(回収・無償修理)や訴訟対応などの費用に計182億ユーロを引き当てているが、和解案で合意した場合、「(不正関連の)費用は現在の引当金を上回る」と説明。ただ、16年12月期決算への影響は「様々な要因に左右される」として明らかにしなかった。(ストックホルム=寺西和男)