米国体操協会の元チームドクター、ラリー・ナサー被告が女子選手らに治療を装って性的虐待を繰り返していた問題で、同被告が勤めていたミシガン州立大が16日、300人超の被害者の間で和解が成立したと発表した。同大が5億ドル(約550億円)を支払う。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、米大学の性的虐待問題で最大の和解金になる見込み。
発表によると、和解金のうち4億2500万ドルは332人の被害者に払われ、7500万ドルは新たに名乗り出る可能性がある被害者の救済基金に充てられる。米メディアによると、大学は工面方法として授業料や州補助金、保険金に期待しているが、州議会には補助金に反対する声が出ているという。
今回の和解対象は同大の関係者のみ。元医師は米体操協会にも属し、五輪代表チームドクターも務めていた。同協会や米五輪委員会も問題を防げなかった責任を別に問われている。
同大のエングラー暫定学長は同日、「ラリー・ナサルのようなモンスターが大学キャンパス内に隠れることがないよう全力を尽くす」との声明を出した。
同被告からの被害を訴えた選手には、女子代表としてともに2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で金メダルを獲得したアリー・レイズマン選手、ギャビー・ダグラス選手が含まれている。同被告は、この問題で禁錮40~175年の判決のほか、児童ポルノ所持の罪でも禁錮60年の判決を受けている。(ニューヨーク=金成隆一)