トランプ米次期大統領が隣国メキシコの負担で建設すると主張している国境の壁について、メキシコのビデガライ外相は10日、地元テレビのインタビューで「建設費を支払うつもりは全くない」と明言した。メキシコ政府はこれまでも支払いの考えはないとしてきたが、トランプ氏の大統領就任を20日に控え、改めて従来の立場を明確にした。
トランプ氏はメキシコからの不法移民を「強姦(ごうかん)犯」などと決めつけ、国境に壁を築くと主張。「まずは米国議会で予算を計上し、その後にメキシコに費用を返済させる」と語ってきた。
これに対し、ビデガライ氏は「そんなことは不可能だ」と断言。「経済的な理由だけでなく、尊厳と主権の問題からも絶対に支払うつもりはない」と強調した。
ビデガライ氏は財務相だった昨年8月、トランプ氏とペニャニエト大統領の会談実現を主導したが、メキシコ国内からの反発を招き、責任を取って辞任した。だが、トランプ氏とのパイプが期待され、今月4日に外相に起用された。昨年の会談について、ビデガライ氏は「メキシコについてよく理解してもらうことが目的だった。少し早すぎたが、より良い関係の基礎が築けた」と述べた。(サンパウロ=田村剛)