アジア・カップ準決勝で中国を破り、ガッツポーズする高倉監督=AFP時事
サッカー女子のアジア・カップで2連覇を達成した日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督には、ラッキーアイテムがあった。大会直前から使い始めた眼鏡だ。かけるようになってから6戦負けなしで、2016年4月に就任してから初めてとなるタイトルを手にした。
「神頼み的なこともあるので、いいものは全てやって、勝ちの空気を持っていけたらいいかな、と」。開催地ヨルダンから帰国した22日、成田空港で取材に応じた高倉監督は、眼鏡のことを聞かれると、にやりと笑った。決勝は夜。サングラスの役目もあるものだが、あえて持っていった。
決勝前日の19日に、50歳の誕生日を迎えた高倉監督。「最近、本を読むときとかに見えなくなってきて」眼鏡をかけるようになったという。遠近両用だという縁が茶系色の眼鏡。試合でのお披露目は、アジア・カップの壮行試合となった、1日のガーナ戦(長崎)だった。突然の眼鏡姿に、周辺からも「スポンサー絡み?」などと勘ぐられたと笑う。
「はじめは、まぶしいからと思ってつけていた」。試合は7―1の大勝。7日の大会初戦のベトナム戦も4―0で快勝した。「日ざしが強かったんでかけていたら、勝った」。いつしか験担ぎのようになっていた。
2月下旬~3月上旬にポルトガルであった国際親善大会、アルガルベ・カップではオランダに2―6で大敗するなど12チーム中、6位だった。不安を抱えて臨んだアジア・カップだったが、1次リーグを1勝2分けで突破。準決勝で中国、決勝でオーストラリアを破って頂点に立った。
大会は来年6月に開幕する女子ワールドカップ(W杯)フランス大会の予選を兼ねており、8大会連続出場も決めた。高倉監督は「私たちはまだ道の途中にいる。この結果に満足せず、選手とともに、来年のW杯に向かって進んでいきたい」。目指す2大会ぶり2度目のW杯制覇へ。眼鏡の「不敗神話」をどこまで続けられるか。(勝見壮史)