黄檗(おうばく)宗(大本山萬福寺(まんぷくじ)、京都府宇治市)の関連施設の建て替え工事の受注を約束し、3億円をだまし取ったとして、大阪地検特捜部は25日、松山市の黄檗宗「安城寺」住職の片井徳久(56)と、自称檀家(だんか)総代で会社役員の宇都宮貞史(さだし)(40)の両容疑者=いずれも背任罪で起訴=を詐欺容疑で再逮捕し、発表した。特捜部は認否について明らかにしていない。
住職、1.5億円の融資焦げ付かせる? 背任容疑で逮捕
特捜部などによると、2人は共謀し、2013年4月ごろ、関連施設の建て替え工事計画について石川県内にある建築会社の男性社長に説明。工事保証金を支払えば受注でき、保証金は返還するなどとうその話を持ちかけ、翌月、3億円を詐取した疑いがある。
黄檗宗の関係者によると、2人は「黄檗宗の総長(代表)から任された」という内容の虚偽の書面を作成し、社長に「工事の委託を受けている」などと話していた。2人は資金を受領後、黄檗宗の関連施設を運営する財団役員を一時的に務めていたという。
男性社長は昨年12月、朝日新聞の取材に応じ、保証金を支払ったことを認めたうえ、「何も話したくない」と答えていた。
特捜部は昨年12月、安城寺の施設建て替え計画に伴い融資を焦げ付かせ、債権者に損害を与えたとして2人を背任容疑で逮捕。家宅捜索で押収した資料などを分析するとともに、資金の流れなどを調べていた。