法務省は31日、少年法の適用年齢を18歳未満へ引き下げるかどうかや、懲役刑と禁錮刑を一本化するかなどについて、法相の諮問機関「法制審議会」に2月9日に諮問する方針を明らかにした。論点が多いため、結論が出るのは来年以降とみられる。
金田勝年法相が31日、閣議後の記者会見で明らかにした。金田法相は「少年法の範囲を現行法のまま維持するかどうかにとどまらず、成長過程の若年者をいかに取り扱い、改善更生、再犯防止を図るかという大きな問題だ」と述べた。
同省は1年にわたり省内で少年法をめぐる検討を続け、昨年12月に報告書を公表。弁護士や大学教授、福祉関係者らに聞き取りをしたところ、18歳未満への適用年齢引き下げは専門家の間でも賛否が分かれた。
選挙権年齢が18歳以上になったことなどを踏まえ、引き下げに賛同する意見がある一方、少年院送致などの保護処分を受けてきた18、19歳が成人と同じ刑事裁判を受けることで、立ち直りへの影響を懸念する声が上がっている。法制審では、引き下げの是非を議論する見込みだ。
また、同省は仮に引き下げた場合、18、19歳の更生を促す対策を併せて検討してきた。「受刑者も少年院で行う内容の教育を受けられるようにする」「現行の少年法と同様、家庭裁判所の調査や審判を経て、少年院送致ができるようにする」などの案が出ており、法制審ではこうした点も議論することになる。
このほか、刑罰全体を見直し、刑務所で過ごす懲役刑と禁錮刑を廃止し、一本化することも論点になる見通しだ。懲役刑は刑務所内で作業が義務づけられ、犯罪からの改善プログラムや学習指導にあてる時間が限られている。同省は、若者にとどまらず、増加している高齢の受刑者なども含めて、その特性に応じた柔軟な仕組みづくりを検討している。(金子元希)
■法制審で議論される主な項目
①少年法の適用年齢を「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げるかどうか
②引き下げた場合に18、19歳への対策をどうするか
・受刑者も少年院で行う内容の教育を受けられるようにする
・引き下げ前と同様に、家庭裁判所の調査や審判を経て少年院に入れるようにする
・懲役刑と禁錮刑を一本化し、再犯防止の教育などに柔軟に時間をあてられる新たな刑罰制度を設ける
・保護観察付きの執行猶予判決を受けた人が再犯をしても、再び執行猶予を付けて社会内での立ち直りを促す
(※20歳以上を対象に含めることも検討する)