憲法と日米同盟について講演する「憲法会議」の川村俊夫代表幹事=東京都中央区
「建国記念の日」の11日、この日を祝う団体と反対する団体が各地で集会を開いた。昨年の参院選で衆参両院の「改憲勢力」が3分の2を占めたことを受け、憲法改正への賛否をめぐる発言が相次いだ。
神社本庁など保守系団体でつくる「日本の建国を祝う会」が東京都渋谷区の明治神宮会館で開いた式典では、自民党の高村正彦副総裁が昨年の参院選で「戦後最も安定した政治基盤」を得たとし、「党是である憲法改正に向けて議論を深める」と述べた。安倍晋三首相の「(建国記念の日が)先人の努力に感謝し、日本の繁栄を希求する機会になることを希望する」とのメッセージも紹介され、約1200人の出席者が拍手を送った。
東京都中央区の日本橋公会堂では、歴史研究者や教員ら約260人が集まり、建国記念の日に反対する集会を開いた。
安倍首相が、今国会の施政方針演説で意欲を示した憲法改正について、護憲の活動を続けている「憲法会議」の川村俊夫代表幹事が講演し、「施行から70年、憲法を一字一句変えてこなかったのは、国民が自分のものにしてきたからだ」と指摘した。自衛隊の南スーダン派遣や、アジア情勢を理由にした日米同盟の強化など「憲法が重大な局面に立たされている」と懸念。自民党が示す憲法改正草案に対し、「国民の権利をうたう現代憲法にはほど遠い。草の根で憲法を生かすことが、憲法改悪に対する力になる」と述べた。
参加した中学校教員の女性(62)は「社会の忙しさが、政権に『おかしい』という声も上げられなくしているように感じる。休みの日として過ごすのではなく、憲法や人権についてじっくり考える日にしたい」と話した。
大阪市や那覇市でもこの日、教育や歴史に関する集会が開かれた。