女性が被害に遭ったと証言する現場の周辺=向日市
女性に車の修理の手伝いを依頼し、運転席に乗せて足をなめ強制わいせつ罪などに問われた元トラック運転手の西山彰被告(56)=京都市伏見区=に、京都地裁は10日、起訴された2件の犯罪事実を認定し、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。法廷で約60件繰り返していたと認めた西山被告とみられる男に足をもてあそばれた、と訴える女性(26)が、被害に遭った当時の状況を語った。
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数年前の冬、時刻は午後7時前。仕事を終えた女性は、向日市の道路を歩いて自宅へ向かっていた。
「車が壊れたので助けて下さい」。突然、困った様子の中年の男に声をかけられた。身長170センチほどで細身、短髪で年齢は40歳以上に見えた。「ブレーキを踏んでいてくれるだけでいい」と言われ、とまどいながらも承諾した。
車は黒っぽいセダン。用心のためダウンジャケットを着たままリュックを抱えて運転席に座り、ブレーキを踏み込んだ。「ボンネットを開けるのかと思ったら、運転席のドアを開けて仰向けで足元に潜り込んできた。この時点でおかしいと思いました」
スニーカーが男の顔に当たらないよう、体を助手席側によじり、デニムをはいた右足のつま先だけでブレーキを踏んだ。なかなか終わらず気味が悪くなった女性は、「足がつりそうなので、他の人を呼びましょうか」と尋ねたという。だが、男はいったん離れて申し訳なさそうに「ごめんね」と謝ったり、「もうちょっとだから」と言ったりしてやめてくれない。「逃げたら追いかけてくるかもしれない」とも考え、ブレーキを踏み続けた。
7、8分たつと、男は「顔に当たって痛い」と靴を脱ぐよう頼んできた。言われるままにスニーカーを脱いだ。男は「ここを踏んで大丈夫だから」と、自分の顔に女性の足を誘導した。女性は靴下をはいた足で男の顔を踏む形になった。「鼻息を荒くして、はもはもしていました」。女性はその時の男の様子を話す。
「さすがにやばい。大声を出そうか」「でも、そもそも本当に困っているだけなら」。恐怖を感じながらも、「変質者呼ばわりして間違いだったら」と逡巡(しゅんじゅん)し、何もできないまま数分が過ぎた。
車に乗って15分。ついに我慢できなくなり、「あの、もう嫌なので帰りたいんですけど」と切り出した。すると、男は突然、「できた、直った」。丁寧に礼を言われ、女性は解放された。
一刻も早くその場を離れたくて、小走りで逃げた。「車のナンバー、見とかなきゃ」と頭をよぎったが、後を付いてくるかもしれず、振り返ることはできなかった。早足で歩きながらスマートフォンで110番通報、警察に被害届を出した。女性は怖くてその道を通ることができず、しばらく遠回りして帰宅したという。(添田樹紀)