北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、緊急の共同記者発表をした安倍晋三首相(左)とトランプ米大統領=11日夜、米フロリダ州パームビーチの「マール・ア・ラーゴ」、岩下毅撮影
北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、中長距離弾道ミサイル「北極星2」の試験発射を12日に実施し、成功したと伝えた。新型のミサイルとみられる。弾道ミサイルの発射はトランプ米政権の発足後、初めて。日米首脳会談に合わせることで、核・ミサイル能力を誇示し、トランプ政権の出方を探る狙いがある。
首相「ミサイル発射、容認できない」 トランプ氏と会見
特集:北朝鮮ミサイル
北朝鮮は12日午前7時55分ごろ、北西部の平安北道(ピョンアンプクト)・亀城(クソン)付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは高度約550キロまで上がって約500キロ飛行し、日本海に落下した。
朝鮮中央通信は、今回の発射について、核弾頭を装着できる弾頭を分離してから、大気圏に再突入する間の誘導や迎撃回避の性能を検証し、新たに開発した「自走発射台車」も試験したと伝えた。「技術的指標を完全に確定した」とし、発射は成功したと強調している。また、燃料も従来の液体から固体に変更。周辺国の安全を考慮し、高度を高めて発射することで、飛距離を抑えたという。
朝鮮中央通信によると、「北極星2」は、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が昨年8月に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」を発射した際の成果に基づき、射程を延ばした地対地弾道ミサイルを開発するよう指示していたという。今回は金委員長が試験発射の実施日を決め、現地で直接指導したとし、「水中と地上、任意の空間においても、最も正確かつ最も迅速に戦略的任務を遂行できるようになった」と述べたという。
一方、韓国軍合同参謀本部は13日、北朝鮮側が主張している通り、北朝鮮は現在、SLBMを基盤にした地対地の弾道ミサイルを開発しているとの見方を明らかにした。そのうえで、北朝鮮が12日に発射したミサイルについて、固体燃料を利用した新型の中距離弾道ミサイルとの判断を示し、性能や飛距離などについてさらに詳しい分析を続けるという。
発射台つきの車両に搭載されれば、移動して運用されるため、発射の位置やタイミングなどの兆候を把握するのは難しい。また、液体燃料は発射前に機体に注入する必要があるが、固体燃料の場合はこうした作業が省略できる。固体燃料が導入されれば、事前に兆候をつかむのはさらに困難になる。(ソウル=東岡徹)