東京都多摩市のマンションで昨年2月、住人の会社員福吉香平さん(当時25)が殺害された事件で、警視庁は13日、住所不定、自称無職の志村亮介容疑者(29)を殺人と銃刀法違反の疑いで逮捕し、発表した。「住人の若い男性を刺し殺したことは間違いない」と述べ、容疑を認めているという。
マンションで25歳男性死亡、複数の刺し傷 東京・多摩
捜査1課によると、逮捕容疑は昨年2月27日午後9時ごろ、多摩市永山3丁目の福吉さんの部屋で、福吉さんの首や胸をサバイバルナイフ(刃渡り約18センチ)で複数回刺し、殺害したというもの。遺体には計28カ所の刺し傷や切り傷があり、死因は失血死だった。
志村容疑者は2009~13年、現場から約1・3キロ離れた大手宅配会社でアルバイトとして勤務していた。福吉さんと面識はなかったが、マンションには配送で何度か訪れたことがあった。当時の住居は現場から約900メートル離れた団地にあり、数百万円の借金があったという。同課は、志村容疑者が金銭目的で福吉さん宅に押し入った可能性があるとみている。
現場周辺では事件直後、マンションから走って立ち去る若い男が目撃されていた。その後の捜査で、マンション内に事件当日、宅配業者の格好をして小さな段ボール箱を運ぶ男がいたことも分かった。同課が現場周辺の宅配会社を中心に聞き込みを進めたところ、志村容疑者が浮上。任意で事情を聴くと、犯行を認める供述を始めたという。宅配会社のアルバイトはすでにやめていたが、勤務していた時に使っていた帽子をかぶって宅配業者を偽装し、ナイフはベルトに付けてマンション内に立ち入っていた。
現場からは米国メーカーの運動靴の足跡が見つかったが、当時の服や靴は事件後、処分したとみられるという。
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志村容疑者は最近まで、福吉さんが殺害されたマンションから900メートルほど離れたところにある都営団地で暮らしていた。
近所の女性(40)によると、志村容疑者は妻とみられる女性と同居していたという。「あいさつをすれば返してくれる人だった。1週間前もあいさつしたばかり。変わった様子はなく、そんなことをする人には見えない。びっくりしている」と話した。
志村容疑者は以前勤めていた宅配会社の帽子をかぶって業者を偽装。福吉さんのマンションは配送で訪れたことがあったという。宅配会社は取材に「何も答えられない」と話した。