クアラルンプールで16日、金正男氏の遺体の司法解剖を実施したとみられる施設の入り口に立つ病院職員=AP
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄にあたる金正男(キムジョンナム)氏の殺害事件で、マレーシア警察が女2人を逮捕した。北朝鮮工作員による犯行が疑われているが、容疑者の言動には不可解な点も多い。
特集:金正男氏殺害
15日に最初に逮捕されたのはベトナム旅券を持つドアン・ティ・フォン容疑者(28)。警察は、事件当日の13日にクアラルンプール国際空港の出発ロビーにいた金正男氏に近づいて顔にスプレーを吹きかけた実行犯の一人とみている。
フォン容疑者は事件後いったん空港から立ち去ったが、15日に戻り、逮捕された。マレーシアの中華紙・東方日報は「仲間がいなくなり、空港に戻った」などと供述したと報じた。殺意を否認しているという。地元報道によると、取り調べに「いたずら目的だった」「自分は旅行者」などと答え、「自分はネットアイドルだ」とも述べたという。
16日に逮捕されたインドネシア旅券を持つシティ・アイシャ容疑者(25)も、見知らぬ男から「いたずらビデオ」への出演を100米ドルで持ちかけられたと供述したという。
韓国に住む元北朝鮮工作員には、事件が「素人の犯行」に映った。凶器や動機は北朝鮮を思わせるが、容疑者の行動が従来の北朝鮮工作員とかけ離れているからだ。
元工作員によれば、北朝鮮は重…