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「首刺され、口の中に血の味」 小金井刺傷・陳述全文

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-2-23 18:41:43  点击:  切换到繁體中文

 

東京都小金井市で昨年5月、音楽活動をしていた冨田真由さん(21)が刺されて重傷を負った事件の裁判員裁判で、冨田さんが23日に読み上げた意見陳述書の全文は以下の通り。途中で岩埼(いわざき)友宏被告(28)が不規則発言を繰り返し退廷を命じられた後は、検察官が代読した。


「じゃあ殺せ」被告、被害女性に怒鳴り退廷 小金井刺傷



犯人からのSNSへの書き込みは3年前の6月に始まりました。犯人がライブ会場に来て、「結婚してください」、「じゃあ、友達になってください」としつこく言ってきたあたりから、犯人の書き込みも意識するようになり、それからは、去年の5月21日に事件が起こるまで、不安や恐怖が無くなることは一度もありませんでした。特に、生き死にに関する書き込みが1日に何件もくるようになったことや、1月17日のライブ終了後にしつこく付きまとわれたことなどがきっかけで、さらに不安や恐怖を大きく感じるようになっていました。こういった犯人の姿は、ファンではなく完全にストーカーそのものでした。



5月21日、犯人に待ち伏せをされ、後を追いかけられて、最後には殺されそうになりました。犯人は、私に無視されたから刺したと言っているようですが、追いかけられている間、私は、「急いでいる」、「リハーサルがある」と言って、何度も断りました。しかし、犯人は、私のそういった言葉には全く耳をかさず、後をついてきました。私の事情は、犯人にとって、どうでもいいという感じでした。



意識を失って、次に病院で目が覚めたとき、すぐに何があったのかは理解できました。そして、それと同時に、事件の記憶がひとつひとつ蘇ってきました。刺されたところが一気に熱くなったこと、首を思いっきり刺されて口の中にも血の味が広がったこと、犯人が恐ろしい形相で私を刺してきたこと、刃物の形、床が血の海に見えたほど自分の身体からたくさんの血が流れ出ていたこと、そこに倒れたこと、犯人に対して足で抵抗しようともがいたことを、はっきりと覚えています。その恐怖は、今でも忘れることができません。事件の後からは、今まで感じていたものよりも、はるかに大きい不安や恐怖を感じています。



入院中は、他の患者さんとすれ違うことも、病室にお医者さんや看護師さんが入ってくることも怖かったです。傷の処置のために使われているハサミは、見るたびに刺されるかもしれないとビクビクしていました。お見舞いに来てくれる人に対しても、私を殺しに来たんじゃないかと思い、その不安から気が休まることはありませんでした。退院した後も、そういった気持ちが変わることはありません。



事件の日から、本当に全てが変わってしまいました。家族と過ごしていた時間、友人と他愛もない話をして笑っていた時間、大学で大好きな勉強をすること、大好きな音楽やお芝居をすること。今まで大切に積み重ねてきたものや時間の全てが、一瞬で奪われてしまいました。普通に過ごしていたはずだった毎日を返してほしい。犯人の身勝手な行動のせいで失ったものは数えきれません。


傷のない身体も失ったものの一つです。傷のない、元の身体を返してほしい。犯人は何ひとつ傷ついていないのに、私だけが身体にも心にもこんなに多くの傷を負って、これから先も痛みに耐えて生きていかなければならないと思うと、悔しいし、許せません。傷を保護するテープを毎日張り替えているため、毎日傷付けられた身体を見なければなりません。その度に、SNSで執拗な嫌がらせをされたことや事件の日のことが思い出されてしまい、何でこんなことになってしまったのかと何度も何度も苦しくなります。


外出したくても、事件で刺されて殺されそうになったときの光景を思い出してしまい、ほとんど外出することができません。


眠ろうとしているときも、事件の日のことが頭の中で何度もリピートされたり、眠れたとしても、犯人が夢に出てきて、また私を殺そうとしてくるので、すぐに目が覚めてしまい、ほとんど眠ることもできません。



今でも、毎日リハビリを続けていますが、思うように身体が動きません。大好きだった歌うことも、食べることも、口に麻痺が残っていて苦痛になっています。大好きだったギターも、ほとんど弾くことができません。視力が低下していたり、視野が狭くなっていたり、常に行動に制限が出ています。そのため、少し歩いたら物や人にぶつかりそうになります。右足の親指にも麻痺が残っていて、家の中でさえすぐにつまづいてしまいます。「どうして当たり前にできていたことができないの」と悔しくてたまりません。


私の身体をこんなにめちゃくちゃにした犯人に腹立たしさを感じて、頭がおかしくなるんじゃないかと思うくらい悔しくて、毎日気がつけば泣いています。



犯人や犯人の家族からも、裁判の日まで謝罪の言葉は一切ありませんでした。裁判で、「申し訳ないとは思っています」という言葉は口にしたようですが、自分の罪を軽くするために言っているようにしか聞こえず、全く心に響きませんでした。私や私の家族が今日までどんなに苦しい気持ちで過ごしてきたのか、わかりますか。犯人も犯人を育てた両親も、犯人に関わるもの全てを許すことができません。


犯人は、私の調書を法廷で読み上げてもらっている間、笑っていたようですが、こんな事件を起こしておいて、どうして笑うことができるのか、理解できません。全く反省していないんだと思いました。今、私が意見陳述をしている間も、きっと心の中では笑っていて、反省はひとつもしていないと思います。犯人はまた絶対に同じことをする。また犠牲になる人が絶対にいる。こんな人を野放しにしてはいけない。


《岩埼被告が「じゃあ殺せよ!」と怒鳴り、阿部浩巳裁判長が「発言をやめなさい」と注意》


絶対に許してはいけない。一方的に感情を抱き、思い通りにならなければ、人を殺そうとする人です。私を恨んで、今度こそ私を殺しに来るかもしれないし、


《岩埼被告が「殺さない!」「殺すわけがないだろ!」と怒鳴り、阿部裁判長が退廷を命じる。以下、検察官が代読》


私の家族や友人にも危害が加えられるかもしれません。


もうこの世の中に出てきて欲しくない。今すぐに消えて欲しいです。それが叶わないならば、一生刑務所にいて欲しい。そうでないと、安心して生活できません。



いろいろな方に助けていただいた命なので、しっかりと生きていかなければいけないと思っています。しかし、生きていてよかったと思う気持ちと、傷だらけの自分の姿や麻痺の残った口を見て苦しくなる気持ちが毎日繰り返されます。


傷ついているのは私だけではありません。家族も同じです。事件以降は、もう一生分くらい苦しんでいますが、その苦しみは今も続いています。犯人の身勝手な言葉や行動に、私も家族も毎日のように悩まされてきました。裁判官や裁判員の方々には、私や家族がどんな思いで過ごしてきたのか、私が今後、後遺症を抱えてどんな生活をしていかなければならないのか、ということも理解してもらいたいです。



今までの判決がこうだから、前例がないから、という理由では判断しないで下さい。


今後同じような事件が二度と起きないように、私みたいに苦しむ人がいなくなるように、この事件で厳しい判決を出していただきたいです。



 

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