伊藤淳史=山本友来撮影
子役時代から活躍し、「電車男」や「チームバチスタの栄光」など、様々な作品で持ち味を発揮してきた伊藤淳史さん。現在出演中のドラマ「大貧乏」(フジ系、日曜夜9時)では、主人公のシングルマザーに思いを寄せる弁護士・柿原新一役です。子役時代の思い出も飛び出しました。
――柿原は、弁護士としてバリバリ仕事をこなす一方、主人公・七草ゆず子(小雪)への恋には不器用ですね。
ラブコメ的な要素もあるので、サスペンスの部分でいかに重く真面目で真剣なところを出していけるか、いつも気を付けています。コメディーの部分でも、柿原は笑わせようというつもりではやってない。仕事に対しても必死だし、ゆず子さんに対しても、必死さや本気さがおもしろく見える。そこのメリハリっていうのは一番気を付けてますね。
――柿原と自身の共通点や重なる部分は。
どんなことに対しても、「本気」という部分ですかね。柿原はすごく正義を重んじていて正しく生きてるんですけど、そういう本気になる部分に対しては、僕自身もそうでありたい。
――柿原がこだわる「正義」、伊藤さんはどう考えますか。
柿原の正義って、一番普通な気がするんです。正しいことは正しいと認められる社会であるべきだとか、大切な人にはそうやって生きてほしいっていう思いは、本当に普通なんですよね。
正義っていう単語にものすごく重みがあって、「じゃあどういうこと」って言われると結構難しいし、僕自身もちゃんとわからず生きているところも正直ある。でも、一番普通な感覚というか、客観的に言われたらそりゃそうだよなって思うことが正義だったりするんじゃないかな。
いま、普通のことが普通じゃなくなっちゃってるなって。普通が特殊に見える世の中になっているように感じる。そんなイメージを持ちながら僕自身も生活しているところがある。だからこそ、そういう普通のことを言っていても、いいシーンだなって思える。当たり前のことがものすごく輝いてしまっているのは、考えさせられますね。
――俳優としてのこだわりは。
脚本を読んで、役柄やセリフのことも含めて、疑問に思ったことは絶対に聞こうと思っています。なぜこうなっているのか、どういう気持ちなのかとか、ちょっとでも疑問を持ちながらやるのは嫌なので、必ず解決させてお芝居をしたい。結果的に芝居としては変わらないかもしれないんですけど、疑問を持ちながらやるのと、ちゃんと話し合ってやるのでは、現場の結束力とか目に見えない部分、変わってくると思う。
あとは、OKが出ても、こっちのほうが良かったなとか、こうだったかなとかと思うことがすごいあるんです。でも、見てくださっている人がすごくいいよって言ってくれることも結構ある。
なので、あくまでも監督が常に上でちゃんと見てくれている、という意識をすごく持っています。もちろん自分が出演している作品ですけど、あくまでも台本があって監督がいて、その中の世界観にいる一人の登場人物という感覚。監督がOKというものを信じるようになりましたね。
――いつからそう思うようになったんでしょうか?
具体的にはわかんないですけど、つい最近だと思います。子どもの頃からそんなこと考えてやってない。
子どもの頃はね、お母さんが連れてきてくれて、現場も遊び場みたいな感じで、はしゃいでて怒られるみたいなこともよくあったんで、そんな意識なかったですけど、こうやっていい役や主役をやらせてもらって、より作品に関わる物理的な量が増えてきてからですかね。
――「大貧乏」には子役も登場しますね。
僕自身、小さい頃からお仕事させてもらってて、正直記憶がほとんどないんですよ。でも、なんとなく、母やおばあちゃんと一緒に、住んでいた(千葉県の)船橋から東京に仕事にいくときの電車の中とかを思い出すんです。ほんと断片的だけど、朝のピークのときにおばあちゃんと満員電車に乗ってて、おばあちゃんがつぶされそうになってて、それを力いっぱい押さえてたことを覚えてたりして。基本的にはちゃんと覚えてないのに、すごい懐かしさを感じる。
僕は、助監督さんや監督さんに怒られた記憶がすごく多いんです。僕、すごいやんちゃだったらしいんで。「うるさーい!」みたいな、「仕事ちゃんとしろ」みたいなのとか。僕の中では現場にいる大人は怖いっていうイメージだったんですよ。いまはみんな現場は優しいですよね。スタッフさんたちも子どもたちに対してもすごくやさしい。
なにより、子どもたちが良い子ですね。「何々役の何々です。よろしくお願いします」みたいな。すごいなって。少なくとも僕はそんなこと出来てなかった。すごいですもん、今の子たち。あいさつとか礼儀とか、いやーすごいなって。
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