「海の京都」の一角、京都府伊根町にある舟屋の町並み(伊根町観光協会提供)
旅行会社が地方の観光政策の支援に力を入れている。自治体と一緒になって観光プランを作るなど、ノウハウを生かして地域の魅力をあげる取り組みだ。いい旅先が増えれば旅行者も増え、本業の売り上げ上昇にもつながるとそろばんをはじく。
「海の京都」と呼ばれる地域がある。京都府北部にある舞鶴市や福知山市などの7市町。大型客船が寄港する舞鶴港や天橋立などが有名だ。だが、地域全体では人口が減り、多くの人でにぎわう京都市に比べれば旅行者の動きは鈍い。
そんな地域を売り込む手伝いをするのが旅行会社のJTB西日本だ。2015年度に京都府から1千万円、16年度は官民で作る観光推進組織「海の京都DMO」から4千万円で、支援事業を請け負った。独自調査で得た地域認知度などを元に、3月末までに計200の観光プランをつくる。
地域住民の協力を得るプランも多い。例えば「漁師と行く洞窟見学ツアー」といった企画では、地元漁師に支払う手数料の交渉も担い、受け入れ態勢を整える。これらのプランで来年度以降、本格的に旅行者の増加につなげる考えだ。
JTB西日本が15年度に自治体などから請け負った観光支援の事業の数は、13年度の1・7倍。関わる社員も今は約80人と同1・4倍だ。石村英之・観光開発プロデューサーは「旅行会社は旅行する人の目線で、旅行がしたくなる魅力を見つけるプロだ。観光支援では『目利き』も生かせる」と話す。
旅行会社の取り組みが活発にな…