米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は3日、シカゴでの講演で、「雇用と物価の改善が想定通り続けば、今月の会合での追加利上げが適切になるだろう」と話し、金融政策を決める今月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを示唆した。発言を受け、市場が予想する今月の利上げの確率は一時、8割台になった。
イエレン氏は米国経済について、「相当な改善をみせ、雇用の最大化と物価の安定という目標に近い」と指摘。外国のリスクも減り、「先行きのリスクはおおむね均衡している」として、景気に自信を示した。
FRBは2015年12月に約9年半ぶりの利上げに踏み切った後、昨年は12月の1度の利上げにとどまった。イエレン氏は「予期せぬことが起きない限り、過去数年のように遅くはならないだろう」と話し、利上げのペースが速まるとの見方を示した。FRBは昨年12月時点で今年3回の利上げを想定しており、イエレン氏は現時点でも妥当との見方を示した。
トランプ政権が掲げる景気刺激策について、イエレン氏は「相当な不透明感がある」としたうえで、「内容がはっきりするまで忍耐強くいるべきだ」と話した。FRB高官からは最近、今月の会合での利上げに前向きな発言が相次いでおり、利上げの観測が高まっている。FRBは10日発表される雇用統計などの指標を見極めた上で、利上げ判断に臨む。(ワシントン=五十嵐大介)