指定暴力団工藤会が市民らを襲撃したとされる一連の事件で、工藤会系の元組員(29)が6日、福岡地裁であった元組幹部の中田好信被告(41)の公判に検察側証人として出廷した。2012年4月に福岡県警元警部が銃撃された事件について、別の幹部から事件直前に「あの顔を覚えておけ」と指示され、元警部の行動を監視したと証言した。
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この元組員は中田被告と同様、銃撃事件で組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)罪などに問われている。11年秋に工藤会系組員になり、15年夏に離脱した。
証言によると、銃撃事件があった12年4月19日の2週間ほど前、工藤会系組幹部の中西正雄被告(51)に指示され、元警部が通勤に使う駅近くで早朝に張り込んだ。本人が現れると、車内で中西被告から「あの顔を覚えておけ」「元警察官だ」などと言われた。その後も指示に従い、別の組員と元警部の自宅周辺に行き、近くのマンションから出入りを確認したという。
ただ、「襲撃の計画は知らなかった」といい、事件の1週間前に寝坊で謹慎処分を受け、当日は組事務所にいた、と述べた。
また11年11月には工藤会系組幹部の田口義高被告(51)と大相撲を見に行き、「あの白髪の(人物の)顔を覚えておけ」と指示された、とも証言。この人物は同月に北九州市で射殺された建設会社役員(当時72)だったという。
福岡地検は今年2月、射殺事件に関与したとして田口、中西両被告ら8人を殺人罪などで起訴した。