和解成立を受け、会見する女性教諭の代理人の榊原富士子弁護士(左)ら=東京・霞が関
結婚前の姓の使用を認めないのは人格権の侵害だとして、40代の女性教諭が勤務先の学校法人を訴えていた裁判の和解が16日、東京高裁(大段亨裁判長)で成立した。17日に会見した原告側によると、時間割などの文書や日常的な呼び方で旧姓の使用を全面的に認め、他の教職員についても希望があれば認める内容という。
訴えていたのは、日本大学第三中学・高校(東京都町田市)に2003年から勤務する教諭。13年に結婚で改姓した後も、旧姓の使用継続を求めたが、戸籍名に変更された。
東京地裁は昨年10月の判決で「旧姓が戸籍名と同じように使用されることが社会で根付いているとはいえない」などとして教諭の請求を退けた。控訴審で高裁から和解勧告を受けていた。同校を運営する日本大学第三学園は「裁判を長期化させることは教育機関として生徒・保護者や原告・被告にとって益がないと判断し、和解を受け入れました」とのコメントを発表した。
一方、民法の夫婦同姓の規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷は15年12月、この規定を合憲と判断する一方、「旧姓使用は社会的に広まっており、不利益は一定程度は緩和され得る」などと述べていた。東京地裁判決については、「最高裁判決と矛盾している」との指摘が出ていた。
一般財団法人「労務行政研究所…