春季大阪府大会の4回戦で力投する大阪桐蔭の小谷
しまっていこー 大阪桐蔭
史上初の2度目の春夏連覇へ向け、大阪桐蔭は「競争によるチーム力の底上げ」を大きなテーマにしてこの春を過ごしている。春季大会はエース柿木蓮(3年)、中堅手の藤原恭大(同)ら主力をメンバーから外し、夏へ向けた新たな戦力の台頭を促す。
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春の選抜では記録員を務めた小谷優宇(同)もその一人だ。府大会4回戦で2番手として公式戦初登板を果たすと、五回の1イニングを三者凡退に抑え、2奪三振。「低めに投げることだけを意識しました。思ったほど緊張しなかった」とはにかむように話した。
エースを目指して大阪桐蔭に来た。中学時代には最速144キロを投げ、根尾昂(同)らとともに、ジュニア日本代表「NOMOジャパン」に選ばれた右腕。だが、入学後はひじや腰のけがに苦しみ、昨秋もひじを剝離(はくり)骨折。春には間に合わないため、記録員を引き受けたのだった。
初登板を果たしたが、感慨に浸っている暇はない。北大阪大会のベンチ入りは20人。大阪桐蔭は例年、投手を5人ほどベンチに入れる。右投手で言うと、野手も兼任する根尾は「確定」と言っていい。下級生から活躍する柿木や横川凱(同)も一歩リードしており、残りの「3枠」を左腕の森本昂佑(同)、道端晃大(同)、2年生右腕の中田惟人らと争う。
「ベンチに入るのは簡単じゃない。チャンスはこの春しかない。どれだけアピールできるかだと思います」と小谷。試合後の取材も、はにかんだのは一瞬だけで、すぐに表情は引き締まった。(山口史朗)