店に立つ菊地智一さんと資子さん=秦野市南矢名3丁目 神奈川県秦野市の東海大キャンパス前で40年以上も学生たちに愛されたとんかつ店「ひげかつ」が、県道拡幅のため店を閉じる。5年前に朝日新聞「声」欄に載った卒業生の投書とおかみの返信は共感を呼び、漫画にもなった。閉店を惜しむ人たちで盛況が続いている。 「お帰りなさい!」。のれんをくぐると、おかみの菊地資子(もとこ)さん(71)の声が響く。狭い店内は学生や教員でいっぱい。夫の智一さん(72)が揚げるサクサクのトンカツをほお張る。 開店は1975年。智一さんは実家が米と精肉の小売店だ。学生らに腹いっぱい食べさせようと考えた。 資子さんにも考えがあった。5人兄弟だったが、訳あって家族がバラバラに。中学、高校時代はひとりで暮らした。「お帰り」と言ってくれる人がいない。さみしさが身に染みた。 大学生も一人暮らしが多い。「さみしい思いをさせたくないの。自分がうんとさみしかったから」。店に来たら資子さんが元気よく「おかえり!」と迎える。出る時には「行ってらっしゃい!」と送り出す。それが習わしになった。 店を続けるうちに次男が交通事故に遭い、智一さんは大病を患った。資子さんも体調を崩し、立っているのもつらくなった。そろそろ店を閉めようかと思った時期があった。 埼玉県吉見町の高橋よう子さん(56)の投書「思い出のカツ、今もサクサク」が、朝日新聞「声」欄に載ったのはちょうどその頃。2011年11月のことだ。 高橋さんは母校の学園祭を訪れ、約30年ぶりに店に入った。資子さん、智一さんの変わらぬ優しいまなざしに胸が熱くなった。店に入ると、資子さんがBGMをジャズに変えた。高橋さんはジャズ研出身。「あれ偶然ですか」。あふれ出た思いを書いて送った。 投書が東海大の教員の目に留まった。大学名も店名もない。だが「お帰り」と迎え、「行ってらっしゃい」と送り出す学生街の店と言えば、ひげかつだ。すぐに資子さんに知らせた。 「こんな風に思ってくれる人がいるのか」。投書を読んだ資子さんは驚き、そして思った。「この仕事をしてきて本当によかった。もう少し頑張ろうという気がしてきました」。返信を送り、紙面に掲載された。 声欄を通じた二人の交流を紹介した記事は、多くの反響を呼んだ。テレビでも報じられ、「神様の背中」などの作品で知られる漫画家のさいきまこさんが漫画にも描いた。 あれから5年。店の前の県道が拡幅されることになり、菊地さん夫婦は決断を迫られた。体調は優れず、移転して新たに店を開く力はない。3月末で区切りをつけると決めた。 閉店の知らせを聞き、昔の常連… |
大学前の「ひげかつ」閉店へ 卒業生との交流、漫画にも
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
中国の若者の輪郭:不動産価格・教育に一番関心あるのは?
中国の若者の輪郭:金融・環境保護に一番関心あるのは?
中国の家電業界にほとばしる新たな活力
成都市で駐車スペースのイラストが流行、依頼料金は千元以上
中国、2020年欧州特許庁での特許出願が過去最多に
女性消費者は何にお金を使っているか?
黄砂が過ぎ去り青空戻った北京 比較写真でその差はっきり
「アバター」が中国で再上映、世界歴代興行収入で首位に返り咲く
中国1-2月の工業付加価値額、実質増加率35.1%に
中国1-2月の社会消費財小売総額、前年比33.8%増の6兆9737億元
中日関係の全体的安定という基本的方向性は変わらない 報告書
習近平総書記が注目した「電気式オンドル」とは?
中国2月の社会融資総量1.71兆元増、M2は10.1%増
国境地帯の雪原を馬に乗りパトロールする人民警察 新疆
6割の業界で女性比率が上昇 新一線都市が女性に人気
大雪が降った四川省で交通整理をして「雪像」になった警察官が話題に
中国米国商会「在中国米企業にとって中国は一番目の投資先」
全人代代表が習近平総書記に「ネコ」の写真2枚を紹介
中国、家族の休暇旅行計画の決定権は7割が妻
武漢大学で桜の花見、1万人が訪れる
溺れた子供を救助し亡くなったタジク族の全人代代表、生前最後の提案が人民大会堂に
中国の国際特許出願件数、世界一をキープ
女性は健康関連消費の絶対的な中心 「女性経済」の中身は?
ユニクロが日本で9%の値下げ発表 中国は値下げの予定なし
中国の太陽光発電、累積設備容量が6年連続で世界一に