犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案の審議入りの時期をめぐって自民、公明両党が綱引きをしている。4月6日の審議入りを主張する自民に対し、公明は政府が先に提出した、性犯罪の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案の審議を優先するよう求めているためだ。
両党の国会対策委員会幹部が顔をそろえた28日の会議で、自民の竹下亘国対委員長は「共謀罪」法案について「できれば4月6日に」と切り出したが、公明の大口善徳国対委員長は同意しなかった。3月29日の幹事長・国対委員長会談で引き続き協議することになった。
公明の井上義久幹事長は22日の幹事長・国対委員長会談で刑法を優先する方針を示し、自民側は聞き置く形になっていた。公明は性犯罪の被害者から強い要望があることなどを理由として挙げている。
しかし、自民は6月18日の会期末までに「共謀罪」法案の成立を図る立場から、提出した順番を入れ替えてでも優先したい考え。法務委では継続審議の民法改正案も残っており、日程が窮屈になることへの焦りも見える。自民の衆院法務委理事は「不人気な共謀罪の議論から逃げたいのかもしれない」と露骨に公明への不快感を示した。(田嶋慶彦、久木良太)